車輪の国、向日葵の少女その3

まず、プレイするきっかけになったMADを張っておこう。
H.264で再UPしてます。 ゲーム/動画 - ニコニコ動画

で、プレイ終了。
2章,3章を茶番と呼ぶのはちょっと悪い気がしてきた。2章での、さちの本当に追い詰められないと創作にとりかかれないニートっぷりはなんつーか身につまされるし、その後のとり憑かれたように打ち込む姿は神々しいものがあった。また、3章のお母さんのアダルトチルドレンっぷりもまた痛々しいほどでじりじりしながらも先をすすめたのでした。だけど、どちらも話のクライマックスでの行き過ぎ感で現実に引き戻されてしまう。もちろんそれは特別高等人であるとっつあんの操作によるものなので、しゃーないのだけど。車輪の国の社会システムへのニヒルな視点と、登場人物たちの感動物語への直球ど真ん中な視点とが一緒に描かれているので、ストーリーがきちんと着地した印象を持てない。

しかし5章の展開はすごいですね。以下ネタばれフィールド展開。
まず、あの、叙述トリックについて。
読者に話しかけるあの文体は、演出だと思っていたんですよね。4章まで。あの語りによって虚構性を意識させ、登場人物たちの義務を異化させることによって、物語の力をあげる。こういうフィクション度のコントロールは、まさにSFの手法なんですよね。だからライター頭いいな、と。
実際のところ、あの叙述トリックは過去の語りと整合が取れているか微妙だし、その後の展開に劇的な効果をあげたかというとまた怪しい。でも、えええ!と驚いたのも事実ではある。
その後の賢一ととっつあんの対決以降も見事ですねぇ。後から冷静に考えると、それってどうなのよ、と思わないでもないけど、緊張感つーか、ひっぱり方というか、読み手の注意をそらさずうまくコントロールしている。