あなたとテクストとわたし

突然、森博嗣の話。私が、彼の作品でもっともエポックメイキングだと思うのは、ミステリィの面白さとは作者と読者の距離のずれが生じさせるものだということを、明確に方法論化したところです。それは、彼のHPの中にある、『まどろみ消去』につけるはずだった後書きで示されています。ミステリィにおける「究極無比のアンサー」とは、作者から読者へのテキストの読み替えである――そのためには、テキストとの距離を統御しないといけないわけで。その距離こそが、キャラクタを読み解いていく愉しみとか、結晶化したイメージを読み取る愉しみとか、文字メディア特有の面白さなんだと思うわけです。以前の話にも出た、昨今の長大化した長編小説ってそういうのを放棄しているように思えるんですよね。閃きがない。じゃあ、「月まど」はどうなんだ、というと、それを避けようとして失敗している、というところでしょうか。うぐぅ。ま、そういうことで、私もクールかつ熱く書いていきたいものです。二次創作としてそれでいいのか、ギモンではあるのですが。

関係ないですが、そろそろ森先生には、アイデアの切り売りでなく、ちゃんと突き詰めたのを書いて欲しいものです。